株価は業績ではなく期待で決まる
先日、ドラッグストアの好調、それに伴うドラッグストアの戦略を記事で紹介しました。
ドラッグストアが好調ならドラッグストアの株を買えば儲かるんじゃないか、好調なんだからドラッグストアの株を買ったなんてことを言う人はよくいますよね。
ところが大手ドラッグストア、ツルハドラッグを運営するツルハHDの株価が大変なことになっています。
ちなみにツルハHDは現在最高益を連続で更新中で波に乗っている企業です。それなのにも関わらずなぜ株価は下がったのでしょうか。
株価は投資家の期待を数値化したもの
あなたが株を買うとしたらどういう株を買いますか?少し考えてみてください。
自分が愛用しているメーカー、よくCMで目にする企業、画期的な商品を開発した企業、選び方は様々あると思いますが共通している選び方がひとつあると思います。それは値上がりしそうな銘柄を選ぶということです。
例えどんなに好きで素晴らしい会社だと思っていてもその会社の不祥事が明日露呈することを知っていて株価が暴落することが分かっている会社の株をわざわざ暴落する前に買ったりはしないですよね。
また、よく知らない会社だったりあまり好きになれないような会社でも必ず値上がりするとわかっていたら(インサイダー取引はここでは考えないでください)その株を買うと思います。
値上がりしそうな銘柄、つまり今はまだ上がっていないんだけど将来上がりそうな銘柄を買うわけです。
では今回のツルハHDのケースを考えてみましょう。
もしドラッグストアが小売りで堅調で成長が期待できるということをあなた自身が分析で導き出せたものだったとしたら今回の暴落は起きなかったはずです。しかし実際にはドラッグストアが小売りで堅調であるという情報はいろいろなマスコミが何度と報道してきた情報です。
したがって多くの投資家達がドラッグストアは値上がりするだろうという考えから株を買っていたと思われます。
もう一度先ほどのツルハHDの株価チャートを見てみましょう。
株価チャートはいわば投資家の期待の変化を記録した足跡です。
実際にその時に何があったかわからなくともチャートを見ることで推測することが出来ます。
去年の10月と今年の4月に大きく株価が上がっています。
つまり去年の10月からすでにドラッグストア、ツルハHDは期待が出来るぞと投資家の方々が思い始め株を買い始めたということです。
そして私が前回記事にしたドラッグストア堅調のニュースは恐らく今年の4月ごろから言われ始めたのではと想像できるわけです。
例え増収増益でも期待以下なら株価は下がる
それではツルハホールディングスが暴落した原因についてみていきましょう。
暴落の原因は6月18日にあった決算です。この決算でツルハホールディングスは増収増益を発表しました。
前期は売上高が前の期比17%増の6732億円、当期純利益が7%増の247億円でした。
今期も売上高7436億円(前期比11%増)、当期純利益253億円(同2%増)を見込んでいて、業績が堅調に推移していることを伺わせます。にも拘わらずなぜ暴落したのでしょうか。
それは投資家の予想(期待)を下回ったからです。上記したようにドラッグストアが好調なことはみな知っていて今回の決算も増収増益になることは多くの投資家が予想できていました。言ってしまえば好決算になることはみんな分かっていたのです。
しかしみなもっといいだろうと思っていたんですね。
今のこの会社の勢いならこれくらい儲かってるはずだ!そう思って株を買ったのにふたを開けてみたら儲かってはいたけど想像したほど儲かってはいなかった。なーんだじゃあもうこの株いらね
となってしまったわけです。
実際と期待の乖離を意識する
投資法にはいろいろ存在しますが一般的な株式投資においてはこれが利益を上げるうえで一番重要だと思います。
素晴らしい企業で将来有望、10年後は今の何倍もの大きな会社になっているはず。そういう会社に投資するのは間違っていませんがそれが分かり切った事実、または相当な期待が持てるということが誰しもがわかっている状況ならば現在のその会社の株価は10年後を見据えた株価になっているので基本的には儲かりません。
逆に規模縮小や不祥事と言ったことで業績の悪化が分かっていた会社でも決算を見たら思ったほど悪くなかったとなれば減収減益でも株価は上がるのです。
この会社、すごくいい会社なのに安すぎないか?確かにこの会社不祥事を起こしたけれどこれは下がり過ぎではないか。
このように実際と株価の乖離が大きい銘柄を見つけ出すことが出来ればあなたは確実に利益を積み重ねることが出来ます。