銀行の苦戦、想像以上に過酷な現状と未来
全国の銀行が苦戦を強いられています。地方銀行は全体の実に約4割が本業で3期連続の赤字、メガバンクも新卒採用の縮小や大規模なリストラ計画など入ってくる情報は芳しいものではありません。
今銀行業で何が起こっているのでしょうか。
大きな原因はマイナス金利
銀行を最も苦しめているのはマイナス金利です。
マイナス金利と一言に言っても国やその状況によって様々なものが存在するのでここでは現在の銀行を苦しめている2016年に日銀が導入したマイナス金利について説明します。
皆さんも多かれ少なかれ預金を持っていると思いますが預金していると定期的に利息がつきます。これは個人だけではなく銀行も同じで銀行の銀行と言われる日銀にお金を預けることによって利息が発生します。使わないお金を日銀に預けておくことで利益を得ていたわけですがこの金利に一部マイナス金利が導入されました。いわば今まで預けていれば利息がもらえていたのにこれからは手数料を取られるようになったわけです。
したがって、今まで日銀に預けていたお金を運用しなければいけなくなったわけですがこの運用先が見つからないのです。
ここが銀行業の難しいところでもあるのですが好景気で経済が元気な時は融資先は簡単に見つかります。しかし不況時は融資しても回収が困難になるケースが増えますし、最悪倒産、不良債権化などということにもなりかねないため融資には慎重にならざるを得ません。
そのため本業の融資は消極的に行い日銀に預けて手堅く利息をもらおうとなっていたわけですがマイナス金利の導入でそれも出来なくなりました。
しかし有望な融資先も見つからない。
減る利益に対して変わらぬ人件費がじわじわと効いており、じり貧になりつつあります。
苦肉の策、手数料の値上げ
もしかしたら皆さんも実感しているかもしれません。今まで無料だった手数料がいつからか急に有料になったり値上げされてたりということが私が利用している金融機関でも起こっています。
この手数料の値上げは利益を上げるというよりもコスト削減にあります。窓口業務やATMで手数料を取るのはそれだけコストがかかるわけで現在は人口減少などで利用者が減り、費用対効果のバランスが崩れているのです。
根本的な打開策が必要
前述したように手数料の値上げはコストの削減です。一見手数料を上げれば利益は上がりそうですが手数料がとられるとなれば利用は控えられます。ですので値上げ=その分利益拡大とはならないのです。
その上最近は電子決済が大頭しつつあり、現金の必要性が薄れてきています。
つまり手数料を取ることにより銀行間のお金のやり取りが制限されるのに加え現金を必要としない電子決済が加速すればATMでお金を引き出す機会が減少し本業の大きなマイナス要因になりうるわけです。
また、仮想通貨などが広く普及すれば通貨の役割が大きく変わりかねず、銀行の存在意義そのものが問われるような未来もあります。
貨幣経済が出来上がってから銀行は経済の中心でしたがデジタル化、IT技術の進歩の中、銀行にしか出来ない業務、サービスとは何なのか。今後の銀行の経営方針は現在のじり貧を解消する打開策が必要なのと同時にその打開策が銀行の未来を大きく左右することになりそうです。