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もう原発なんざ見限るこった

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東京電力ホールディングスと中部電力原子力事業で提携協議に入りました。

日立製作所東芝も参加し4社で連携し原発の再稼働や廃炉と言った原発事業をやっていくことを検討する模様です。

大手4社が連携する背景にはそれだけ原発の維持、廃炉が難しいことを意味します。

今回は原発事業の現状と未来を考えていきます。

 原発の現状

東日本大震災によって起きた福島第一原発事故を受けて全国の原子力発電所はすべて停止しました。

日本にある原発は全部で60基ほど。そのうち現在稼働中の原発は5基です(2018年8月)。

提携を発表した東京電力福島第一原発を除けば11基、中部電力は5基保有していますがいずれも稼働していません。

原発の再稼働には原子力規制委員会が定めた厳しい厳しい安全基準をクリアしなければなりません。そのためには莫大な設備投資が必要になる場合もあり、大変な状況です。では廃炉かとなりますが廃炉にするためにも燃料であるプルトニウムを安全に処理するために高度な技術が必要でこれまた大きな費用がかかります。

再稼働するにも金がかかる。かと言って廃炉も金がかかる。どうしたらいいんだと停止中の原発もほっとくとメルトダウンするので維持費がかかります。

にっちもさっちもいかないけど金だけはかかる原子力負債を大量に抱え込んでいるのがいまの現状なのです。

みんな困っているから協力しよう

東芝や日立はいろいろなビジネスをやっていますが東京電力中部電力に至っては完全にライバル関係にあります。そんな2社が手を組むにはそれだけ原発の問題が深刻であることを意味します。

再稼働にも廃炉にも維持にもただただ金を食うこの問題児をなんとかしよう。

そのためにはお互い立場を捨てて(ただし原発に限る)再開に向けて、安全に廃炉にするために知恵を出し合おうという姿勢が見て取れます。

もう原発なんざ見限るこった

これは現在放送中のNHK大河ドラマ西郷どん勝海舟役の遠藤憲一さんの「もう幕府なんざ見限るこった」からいただきました。

現在の原発事情は幕末の幕府とよく似ています。もう未来のない原発をあれこれ理由をつけて必死に守ろうとしている点です。

従来の火力発電と比べ低コストでCO2の排出量も少ないのでクリーンで安全で生産性の高いエネルギーとされていましたが震災以降千年に一度の大津波を想定した安全基準を満たさなければいけなくなったため防災コストが跳ね上がりました。

また今まで生産性が乏しかったり運用コストが割高であるため敬遠されてきた再生可能エネルギーも技術の進歩に伴い発電力は上がり運用コストも下がりつつあります。ここで原子力発電にこだわってしまうと再生可能エネルギーの技術分野で遅れることになり将来的に海外の技術に依存することになるかも知れません。

資源が乏しく技術を売るしか生きる道がない日本にとって技術で他国に先行させるのは大きなマイナスです。

実際問題先進国のほとんどが再生可能エネルギーにシフトしていて原発需要があるのは発展途上国に限られています。

したがって原発に拘るメリットは今が楽だからということ以外にほとんどなく、将来性の低い技術と言えるのです。

まとめ

再生可能エネルギーは発達してきたと言ってもまだまだ火力発電や原子力発電と比べると発電量も少なくコストも高いうえ安定性に欠きます。ですので今すぐに発電を再生可能エネルギーにシフトすることは出来ません。

しかし原子力発電に未来がないことは明白です。これからは原子力発電の依存度をどれだけ早く下げられるか、そして再生可能エネルギーでの安定した発電技術を世界に先駆けて開発していくことが求められます。

 

原子力発電には”安全神話”というものがありました。それは原発は100%安全であるというものです。福島第一原発の事故で住民たちは東電に騙されたと怒り心頭に発していましたが冷静に考えればわかったことです。100%安全であるならばなぜ避難マニュアルが存在したのでしょう、なぜ東京湾に建設されなかったのでしょう、なぜ巨額の交付金が支給されていたのでしょうか。

同じくして今すぐ再生可能エネルギーにしても問題ないという方々がいらっしゃいます。鵜呑みにしてはいけません。100%うまくいく根拠などどこにもないのですから。


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