経済・お金のあれこれ

経済やお金に関するあれやこれや。今更人に聞けないあんなことやこんなこと。経済やお金についてよくわからない人に対してわかりやすく役に立つ情報を提供することを目指します。

認知症患者の資産をどう扱うか

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高齢化に伴い認知症患者が保有する資産が増えてきています。認知症になると正しい判断をしたり記憶を保持することが難しくなるため、お金を正しく使うことが困難になる場合があります。

そういった場合、認知症患者のお金の誰がどのように管理していけばよいのでしょうか。

認知症患者のお金の取り扱いの問題点

認知症により正常な判断力や記憶を失ったりすると同じものを何度も購入したり必要のないものを購入したりするなどお金の取り扱いが難しくなります。

そのため第三者が当事者に代わってお金を管理しなければならなくなるのですがここに大きな問題点があります。

認知症を患い、お金の管理が難しくなると資産管理を代行する第一候補はその家族です。しかしながら配偶者も高齢で管理が難しかったり子供が近くにいなかったり、そもそも天涯孤独であったりとお金を管理してくれる人が見つからないケースもしばしばです。

そうなった場合、本人の資産は事実上凍結状態になるほか、生活費や医療費と言った本人取って必要不可欠な支払いも困難になります。

成年後見人制度

この問題を解決するのが成年後見人制度です。これは意思表示や意思決定が困難になった当事者に代わって代行する成年後見人を設ける制度です。成年後見人がつけばたとえ本人が意思表示が困難な状態にあっても成年後見人が本人に成り代わって入院の手続きや支払い、生活必需品の購入のためなどに本人の口座からお金を引き出して使ったりすることが出来ます。

しかしこの成年後見人制度にもたくさんの問題点があります

弁護士や司法書士と言った専門家を後見人あてれば当然費用がかかります。これには最低でも月2~3万円程度かかり資産が少ない人には利用することが難しいです。

当事者とまったく関係のない人が成年後見人となる市民後見人というものがあり、国や自治体はこれを頼りにしようとしているところがありますが実際には難しいと言わざるを得ません。

この市民後見人は基本的には無報酬です。つまりボランティアで行うわけですが実際に使ったお金の申告を家庭裁判所にしたり負債などがあればその対応なども責務として求められます。

市民後見人になられる方にも生活があります。時にはトラブルを抱えることもあるでしょう。自分の生活に加え赤の他人の意思決定や資産管理を責任を持って行える人がいったい何人いるというのでしょうか。

福祉としての仕組み作りの必要性

日本は外国と比べ国民の善意によって成り立っていると感じる場面が多々あります。

例えばサービス残業を始めとする労働問題。やれサービス残業だ、やれブラック企業だと労働問題に関するニュースは事欠きませんがあなたの職場はどうでしょうか?

サービス残業をしたことはありませんか?セクハラやパワハラと言ったハラスメントを受けたことはないでしょうか、有給休暇、育児休暇などはすべて取れましたか?

恐らく利用できていないものがあると思います。また、そのすべてを利用したことがないという人さえいるでしょう。

しかし日本の社会はそういった善意によって支えられているのが現状です。もし国が徹底して企業に労働基準法の尊寿を求めたらどうなるでしょうか、もし会社員がそのすべてに訴えを起こしたらどうなるでしょうか。

恐らく9割の会社は潰れてしまうのではないかと思います。

市民後見人の普及を促進するのも結局はこういった善意を当てにした政策です。世の中は今そういった善意ある人が損をする世の中を脱しようと頑張っているわけですからこれは世の中に逆行する政策です。

日本人の善意を当てにするのではなく制度として身寄りのない人が認知症になっても安心だと思えるような制度を作っていかなければならないはずです。


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