アップルが時価総額1兆ドル突破~~築き上げたブランド力
iPodやiPhoneなどで有名なアメリカのアップルの時価総額が1兆ドル(110兆円)を突破しました。
アップルの4~6月期の純利益は前年同期と比べて32%増の115億1900万ドル(1兆2880億円)で最高益を更新しました。
しかし世界シェアでは中国の華為技術(ファーウェイ)に2位の座を明け渡すなど今後も激しい攻防が予想されます。格安スマホなど競合他社が成長してくる中、業績を伸ばしてこれた要因は何だったのでしょうか、また今後も成長は続くのでしょうか。
業績を支えたのは築き上げたブランド力
1年前は606ドルだったiPhoneの販売単価は724ドルまで上昇しました。最新のiPhoneXも1000ドルを超えており、格安スマホが普及してきた今となってはかなり高価な部類に入ります。
さらに性能面でも格安スマホが追い上げており、サムスン電子やファーウェイなどは安価なのにも関わらず高性能なスマホを続々と出しています。
ファーウェイが出したAIによるカメラ補正を搭載したスマホなどが話題を呼びましたね。
もはや技術面においても負けている部分が出始めています。それなのにも関わらず高価なiPhoneが売れ続けたのはどうしてなのでしょうか。
それはブランド力です。
人はイメージにお金を払う
例えば女性に「好きなバッグのブランドは?」と尋ねると1位はルイヴィトンになるそうです。
また男性に「好きな時計メーカーは?」と尋ねると1位はロレックスになるそうです。
これはどうしてそうなるのでしょうか。
確かにルイヴィトンのバッグはオシャレです。しかし世の中には安くてオシャレなバッグがたくさんありますよね。
確かにロレックスはかっこいいですが1万円程度でも高級感溢れるデザインの腕時計はありますよね。ロレックスの100万円の腕時計はこの1万円の腕時計の100倍かっこいいのでしょうか、100倍性能が優れているのでしょうか。そうではありません。
私はオシャレには疎いので深くは言及しませんが100万円のロレックスが1万円の腕時計の100倍かっこいいわけではないことは確かです。機能面においても日本が世界に誇るSEIKOのほうが優れていると思います。
少なくとも1万円のSEIKOの腕時計よりロレックスの腕時計のほうが100倍性能がいいわけではないですよね。
性能もデザインも目を見張るような差はありません。なのにどうしてここまでの価格差が生じるのでしょうか。その差がブランド力なのです。
ルイヴィトンのバッグを買う女性は厳密に言うとバッグを買っているわけではありません。ルイヴィトンという名前を買っているのです。
「私はルイヴィトンのバッグを持っているという事実」が重要なのです。
それを証明する良い材料がコピー商品でしょう。もちろん劣悪なコピー商品もありますがロレックスやルイヴィトンと言ったクラスなってくるとコピー商品の中でさえランクがつけられ、高ランクのコピー商品はまず素人では見破ることは出来ないほど精巧に作られています。
それなのにも関わらず正規品と比べれば価格は雲泥の差です。性能もデザインもほぼ一緒なのになぜ値段が違うのか、それを分けるのは一方がルイヴィトンが作ったものであり、もう一方がそうでないというただそれだけです
サムスン電子やファーウェイがどんなに企業努力をしようともアップルのロゴの入った製品を作ることは出来ないのです
iPhoneのこの機能がほしい、こういった使い方はiPhoneでなければできない、ではなく、iPhoneだからほしいと思うユーザーが着実に増えてきたということでしょう。
今後の成長のカギは「アップルでいられるか」
もしアップルがバッグを作るメーカーであったならば長期の安定収入が約束されたかもしれません。しかしながらアップルは常に最先端をひた走るIT企業です。
そしてアップルのブランドが高まったのは常にクリエイティブな商品を生み出し続けたからでしょう。iPodから始まりMacbook、iPhone、iPad。常に時代の先頭を行くような商品を生み出し続けてきた、つまりこれからもそういった商品を生み出し続けていくのがアップルだと思われているわけです。言い換えるとこれがアップルのブランド力そのものですのでもうアップルの商品は時代遅れだと思われたら途端にブランド力は崩壊することになります。
米中の貿易摩擦が強まり、スマホが関税対象になればアップルに大きな打撃になるのではと言った意見もありますがそれは短期的な見方でしょう。今後さらにアップルが成長出来るかはアップルがアップルであり続けられるかにあると思います。