金融緩和って何?副作用があるの?~~金融緩和の良いとこ悪いとこ
日本銀行は7月31日の金融政策決定会合で今の低金利を維持していくことを決定しました。
つまり、金融緩和を継続していくということなのですが今は長期金利が0%程度になるように誘導していましたが長期化することによる金融緩和の副作用を考慮しこれを0.2%程度まで上昇を許容する考えを示しました。
2013年から始まったこの金融緩和ですが目標は2年で2%物価を上昇させることでした。
しかしながら2018年現在消費者物価の上昇は0.9%程度。2%の物価上昇を達成させるためには今後も金融緩和を維持していかなければなりません。
そのため長期的に金融緩和を続けていくためには副作用を抑える必要があり、長期金利の0.2%程度の上昇は許容しなければならないということですね。
さて、最近よく出てくる金融緩和の副作用。日経新聞なんか読んでると当たり前のように出てくる言葉になりましたが金融緩和の副作用ってどういうものなんでしょうか。
そもそも金融緩和って何なんでしょうか
今回は金融間についてまとめてみました。
そもそもに金融緩和とその作用とは
金融緩和とはお金の流通量を増やしてお金の価値を下げることです。
- 今まで100円で買えていた物が110円出さないと買えなくなった。
- 今まで10万円しかもらえていなかった給与が12万円に上がった。
もし物の価値に変動がなく、あなたの労働職や会社の業績に変化がないのであればこの現象はお金の価値が下がったから起こっているわけです。
(物の価値が上がったりあなたの労働力、もしくは仕事が評価されたりすればお金の価値が上がっていても同じ現象が起こり得ます。)
つまりお金の価値が下がると
給与が上がる→消費が増える→企業の業績が上がる→給与が上がる
と言った循環が生まれるわけです。これをインフレーションと呼びます。
このインフレーションを起こすことでお金の循環を良くすることが日銀の狙いであり期待される金融緩和の作用なわけなのです。
金融緩和の仕組み
さて、日銀は物価を上昇させるため、お金の価値を下げているわけですがどのようにして下げているのでしょうか。
次の3つの金融政策を行っています
まず1の国債の購入です。国債とは国の借金です。国が予算組むのにお金足りないから貸してくださいというのが国債です。この国債を大量に買うことで国にお金が流れます。
そして2のETFですがこれはちょっと難しいです。詳しいことはまたの機会に説明しますので今回は簡単に日本の代表的な企業の株をバランスよく買える物程度の解釈でOKです。
つまりこのETFを大量に買うことで日本の名だたる企業に資金が流入するわけですね。
そして最後のマイナス金利。これもちょっと難しくて特殊ですので詳しくはこちらをご覧ください
簡単に言うと銀行がみんなにお金を貸さないと銀行が損するシステムです。
お金の価値が上がってデフレが起こると銀行はお金を貸し渋るようになります。お金を貸さないと損するようにすることで積極的にみんなにお金を貸すように働きかけるわけです。
金融緩和の副作用
さて、以上3点の金融政策によってお金の価値を下げ物価上昇を狙う日銀ですが最近言われるこの金融緩和の副作用とは何なのでしょうか。
国債市場の機能低下
日銀が国債を大量購入しているせいで流通する国債が極端に減っています。つまり今まで国が10兆円の国債を発行すればその10兆円はすべて市場に流れていましたが10兆円発行しても8兆円を日銀が買ってしまうので、市場には2兆円しか出回らないのです。
出回る国債が減れば当然流動性は低下し、値が安定しなくなります。国債の値が安定しないということは円の価値が安定しないということ、そうなれば日本円は信用を失い、金融市場や経済の安定を損ねる可能性があり、最悪円の価値が崩壊し、ハイパーインフレを引き起こす可能性もあります。
株式市場の歪み
株式市場は言わば巨大な競り市です。上場企業の株券を買いたい人と売りたい人が値を付けあっています。
株式会社○○100株1万円で誰か買わないか?
9000円なら買うぞ
11000円出すからすぐ俺に売ってくれ
こんな感じで競りが行われているので人気のある株(業績が期待できる株)は必然的に値上がりし人気のない株(業績が期待できない株)は値下がりしていきます。
そして日本の代表的な企業の株価を平均したものが日経平均株価なのです。したがってこの日経平均株価がどれくらいで推移しているかを見ることで日本経済が好調なのか不調なのかと言ったバロメーターにもなるのですが日銀が手当たり次第に代表的な企業の株を買っていくわけですから業績の良しあしに関わらず日経平均株価が底上げされてしまいます。
すると業績が悪いのに高い値で株価が推移したり業績以上に株価が上がったりなど市場のバランスが崩れる可能性があるのです。
銀行の暴走
マイナス金利が導入される前は銀行は日銀にお金を預け、資産を守ることが出来ました。しかしマイナス金利の導入で日銀にお金を預けても損をしてしまうので他で利益を上げなければなりません。
しかしだれかれ構わずお金を貸し付けても貸倒になってしまいます。利益を求めて今、全国の銀行が暴走しつつあります。
これが金融緩和の副作用だと言ってしまえば確かにそうなのですが何か違いますよね(笑)
経営が苦しいから俺たちは悪いことをしたんだ!って開き直られているようでこれを副作用にするのは個人的には嫌なのですが一応副作用のひとつと数えられているので紹介しました。
まとめ
以上が金融緩和とは何か。そしてその作用と副作用でした。
お金の価値が高くなっていくデフレが続くとお金の流動性が悪くなり経済が細ってしまうので基本的には良くないとされています。そして日本はずっとデフレの状態で経済が停滞した状態が続いているとされています。経済を活発にするためにはお金の価値を下げる金融緩和は必要不可欠なので続けていかなければなりません。
しかし元気が出るからとカンフル剤をバンバン打ってれば心臓麻痺を起こしてしまいます。
症状が改善しない中薬の副作用も考えつつ長期的に薬を使っていく方法を模索しているわけですね。