経済・お金のあれこれ

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子供の医療費助成はダメ、高齢者の医療費助成はOK 民主主義の弱点

国が定める子供の医療費助成制度は未就学児が2割負担となっています。

しかしながら多くの自治体はこれ以上の助成を行っています。

その目的は少子高齢化に伴う人口減による生産性の低下を食い止めるため、住民を獲得する手段でした。

 

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国が自治体の要望に消極的なのは医療費が膨らむことです。お金がかからない、安いとなれば医療機関の安易な利用が増え、医療費がかさんだり医療現場の人手不足を招きます。これ以上医療費の増大を許すわけにはいかないのです。

というのが国の建前です

いや、実際には本音でもあるのですが子供の医療費助成に積極的になれないのは民主主義ならではの特殊な事象があるのです。

 

高齢者の医療費はあっさり無料にした過去

 

1969年に高齢者の医療費負担を軽減しようと東京と秋田県が全国で初めて高齢者の医療費を無料化しました。高齢者医療費無料化はあっという間に全国に広がり73年には国が制度として医療費の無料化に踏み切りました。

 

高齢者の医療費助成は国もあっさり認めたのになぜ子供の医療費の助成は渋るのでしょうか。

 

ひとつは建前である医療費の歯止めです。高齢者の医療費を無料にしたところ70歳以上の受療率は5年で8割増、一人暮らしの高齢者が話し相手を求めて病院に通うという病院待合室のサロン化や不必要な長期入院などで医療費が膨れ上がりました。

 

子供の医療費をさらに助成すれば似たような流れになることは必然で、高齢者医療無料化の二の舞になることを警戒しているのです。

 

そしてもうひとつは政治的な理由だと私は考えています。

それは子育て世代に喜ばれてもあまり得票出来ないということです。

高齢者医療費無料化は問題がすぐに顕著化しましたが国は10年間この問題に目を瞑ってきました。

理由は人口の28%を占める高齢者の票を無視できないことにありました。

民主主義は良くも悪くも多数決です。例え悪い政策であっても多数派がそれを支持すれば実行されてしまいます。

 

医療の技術革新や高齢者の増加などで医療費は増え続ける一方です。医療費を削減しなければならないということは確かな事実なのですが子供の医療費助成と高齢者の医療費助成でここまでの対応の差があるのは選挙を考慮していると言わざるを得ないでしょう。

 

もちろん前回の失敗で学んだから。と言われればそれまでなのですがもし順序が逆だった同じ展開になったでしょうか。


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