止まらぬAmazon。どこまでゆくのか
アメリカのアマゾン・ドット・コムが好調です。2018年の4~6月期の純利益は前年同期比の実に13倍で25億3400万ドル(2800億円)で四半期ベースの最高益を達成しました。
実はこのアマゾン・ドット・コム。赤字決算で有名な企業なんです。理由は積極的な設備投資です。
設備投資とは企業が商品を生産するための工場や機器を購入したり、新商品を開発するために資金を投じることです。
アマゾン・ドット・コムは稼いだお金を惜しみなく投資に回すことで事業を拡大してきたのです。
そんなアマゾン・ドット・コムの投資がようやく実を結び目に見える利益となって表れてきました。どのように実を結んだのか詳しく見ていこうと思います。
稼ぎの筆頭は意外にもクラウド事業
普通アマゾン・ドット・コムというとネット通販を思い浮かべますよね。しかしながら会社としての稼ぎの中心はクラウドサービスの「AWS」です。
「クラウド」とは、クラウドサービスプラットフォームからインターネット経由でコンピューティング、データベース、ストレージ、アプリケーションをはじめとした、さまざまな IT リソースをオンデマンドで利用することができるサービスの総称です。
同事業の売上高は4~6月期も49%増と堅調。クラウド市場におけるシェアも3割を占めました。
設備投資の成果 広告事業
アマゾンは広告のイメージもあまりないですよね。広告と言えばアメリカのGoogleやFacebookなどが有名ですがアマゾンはその巨大なインターネット市場の情報を活かし購買行動という魅力的な情報を提供できる強みを生かして広告主を獲得。GoogleとFacebookから顧客を奪い始めています。
実際に広告事業の売上高は前年比で2.3倍に増えています。
本業の小売りも効率化で収益率アップ
小売りの分野でも事業の効率化が進み、利益率を上げています。もともとはアマゾン自体が在庫を持ち、注文があれば在庫から商品を発送するという普通のスタイルでしたが第三者に販売の場を提供する「マーケットプライス」事業にシフトしていっています。
楽天などもこのスタイルを取っていますがいわば楽天市場、Amazon市場で物を売る場を提供するわけです。そして出品者からは手数料を取ります。
在庫を抱えることがなくインフラを貸すだけで利益をあげられるので利益率が高いのです。4~6月期は39%の増益でした。
事業の多角化で収益の安定化
Googleを運営するアルファベットが発表した2018年4~6月期の決算は31億9500万ドル(3500億円)でしたがGoogleの収入源の96%が広告収入です。
Googleのマーケティングは公正な競争を妨げているとし、EUから50億7000万ドルの制裁金を科せられました。
これはGoogleが収益化した広告事業の根本を揺るがすもので今後の広告事業の在り方を問われるものです。96%を広告収入に頼るGoogleにとってこのEUの判断は致命的な判断になりかねないのです。
しかしアマゾン・ドット・コムの事業はかなり多様化していますね。
小売り、クラウド、広告事業。さらに最近ではオンライン薬局のピルパックを買収、ヘルスケアや金融と言った分野にも参入すべき設備投資を進めています。
事業を多様化することにより一部の事業に困難が生じても他の事業で補うことが出来、収益を安定させることが出来ます。
コカ・コーラやナイキなど日用品を扱う企業は景気に左右されず安定した収益を上げることからディフェンシブ銘柄と呼ばれますがアマゾン・ドット・コムは新しいタイプのディフェンシブ銘柄になっていくのかもしれません。