介護人材の確保のため外国人労働者受け入れ拡大を急げ~~四の五の言ってられない介護の現状と未来
日本政府はベトナムから介護人材の受け入れ拡大で合意したようです。
1年以内に3000人、2020年には1万人の人材を受け入れる目標で環境整備を進めていく方針です。
そのほかにもインドネシアやカンボジア、ラオスなどにも介護人材の受け入れを打診しています。
今回は日本の介護の現状と外国人受け入れの問題点を考えていきましょう。
猫の手も借りなければならない現状と未来
”猫の手も借りたい”ではありません。借りなければならないのです。それほどまでに日本の介護の人手不足は深刻です。
2017年の介護職の有効求人倍率は3.6倍。入所待ちをしている高齢者は約37万人と推定されています。
人手は今現在で約4万人不足していると言われピークとされる2035年には実に79万人の人手が不足すると言われています。
79万人の人出が不足しているという現場は一体どんな状況なのでしょうか。まったく想像がつきません。
外国人の受け入れには後ろ向きの意見が多々ありますが現状を考えると人材確保を優先せざるを得ない状況で政府の方針は評価できるでしょう。しかし本当に79万人の人手不足が到来するのであれば1万人の援軍は焼け石に水という状況になりかねません。
国内でも介護人材を確保しつつ外国人労働者の受け入れの緩和、そしてロボット技術の導入など複合的にあらゆる手を尽くさなければ乗り切れない状況でしょう。
労働条件に高い壁
実は介護職におけるベトナムからの人材の受け入れは昨年の11月から始まっていました。
しかし実際の受け入れ人数はわずか数人。数人しか利用できなかったのは外国人技能実習制度の厳しい条件がありました。
来日した外国人は1年以内に日本語で日常会話の出来るN3の能力を得なければ帰国しなければならないというルールです。
さらには働きながら日本語の勉強をしなければならず、学習費用も自己負担です。
どうでしょうか。こんな制度では相当自分に自信がない限り利用をためらってしまうと思います。
人材確保にありとあらゆる手段を
政府はベトナム人の学習費用を支援し、優良企業の斡旋も行います。さらに従来の外国人技能実習制度は最長5年間しか働けませんでした。しかし技能実習を修了すればさらに5年働けるようにする新制度も創設します。
来日のためのハードルを下げ、優秀な外国人には長く働いてもらえる制度作りを始めています。賃金も日本人と変わらない水準を保障します。
しかしながらそれでもまだまだ人手は足りないでしょう。ITの分野ではかなり高度なレベルでの翻訳機が出来つつあります。現場にうまく導入できればそもそもの習得しなければならない日本語能力も大幅に下げることが出来るでしょう。
言葉の壁が取り除かれれば外国人の受け入れには拍車がかかると思います。
現実を見なければならないという現実
外国人労働者の受け入れには消極的な意見が結構あります。まず一番懸念されているのが犯罪の増加です。日本は治安がいいことで有名ですね。そして今まで日本は外国人の受け入れというものを積極的に行ってこなかったので日本の治安が良い=日本人の犯罪率が低いということです。したがって外国人を受け入れることで犯罪が増加するのではないかという懸念があるわけです。
そして次に多いのが人権問題でしょうか。
外国人はトラブルや悩みを抱えても相談しにくい立場にあります。それを知ってか知らずかものすごい低賃金で働かせたり、そもそも給料を支払わなかったり、各種ハラスメント(パワハラ、モラハラ、セクハラなど)挙句の果てにはパスポートなどを取り上げたりなど現代の奴隷制度と評する人もいます。
ではどうすればよいというのでしょうか介護が受けられない老人は姥捨て山に捨てろということでしょうか。
法整備や起こりうる問題に対して備えを万全にして迎え入れることは理想ですがそんな余裕がどこにあるのでしょうか。現実を見なければなりません。現実を考えれば外国人労働者の受け入れを行いつつ、起こっていく問題に対処していくという方法を取らなければならないでしょう。