経済・お金のあれこれ

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新興国通貨の人気が止まらない~~率先して損をする個人投資家達

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個人投資家による新興国通貨を対象とした取引が拡大しています。

過去最高だった2017年の取引量を2年連続で更新する見通しです。

しかしプロの投資家の間ではアメリカの利上げに伴う新興国からのマネー流出や、米中貿易戦争の影響による不透明感から警戒が高まっています。

同じ相場にいながら積極的に新興国通貨を取引する個人投資家と取引に慎重になるプロの投資家。

現在の相場ではどのように立ち振る舞うのが正しいのでしょうか。考えていきたいと思います。

 

なぜ今、新興国通貨が人気なのか

金利

今日本はゼロ金利政策の真っ最中であるため、円を持っていてもお金は増えません。しかし海外の通貨は金利があるので海外通貨を持っているとお金が増えます。

この金利差を利用した利益をスワップポイントと呼んでいますがこのスワップは基本的に金利差があればあるほど大きくなるので政策金利が高い国の通貨ほどスワップポイントも高い傾向にあり、こうした高金利新興国の通貨が人気になっているのです。

人気のひとつであるトルコは政策金利24%に引き上げました。

価格変動がないと仮定して1万円分のトルコリラを1年間持っておくとそれだけで2400円の利益がうまれることになります。

そろそろ上がるのでは…

新興国通貨が人気であるもうひとつの理由は長らく続く低迷です。

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これはトルコリラ/円の日足チャートですがこのチャートで見るだけでも3年以上、下落を続けているのが分かります。

なぜ下げ続けているものが人気なのかと不思議に思われる方もいるかもしれませんが、これは個人投資家に見られる典型的な傾向で逆張り思考と呼ばれています。

スーパーに買い物に行って買うつもりがなかったお肉に目の前で50%OFFのシールを貼られたことでお得だ!とついつい買ってしまうという経験は誰でもあると思います。

基本的にはこの心理と同じで下げている期間、値幅が大きいほど”割安である”と感じる人が多くなります。

 

www.keizai-arekore.com

このようなことからFXの中でも新興国通貨の取引が圧倒的に増えており、FX取引全体のおよそ4割を占めるほどです。

警戒するプロ・歓喜するアマ

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こぞって新興国通貨を買い求める個人投資家とは対照的にプロの投資家達は新興国通貨への警戒感を高めています。

なぜこのようなことが起こるのでしょうか。それはプロの投資家達はなぜ新興国金利が高いのか、なぜ下落を続けているかを知っているからにほかなりません。

なぜトルコの政策金利は高いのか

あなたは急に10万円を工面しなければならなくなり消費者金融からお金を借りることにしました。

A社は金利が5%、B社は金利が10%です。どちらから借りますか?

当然金利の安いA社からですね。

このように誰でもお金を借りるなら安く借りたいと思うはずです。それなのになぜトルコは24%というとんでもない政策金利を付けているのでしょうか。

それはそれだけの金利を付けないと誰も貸してくれないからです。

政策金利が1%でみんなトルコリラをわんさか買ってくれるならわざわざ金利を上げる必要はありません。

つまりそれだけトルコに信用がないということになります。

先ほど買う予定のなかったお肉に50%OFFのシールが貼られた途端に買ってしまうという話をしました。

しかしそのお肉はなぜ50%OFFなのか、実は消費期限が切れて1週間以上たったお肉のラベルを偽装したものだったとしたらどうでしょう。50%OFFでも買わないですよね。

これと同じことがトルコリラでも言えるのです。

確かに政策金利24%は魅力的ですがアメリカの急速な利上げによるマネーの吸い上げ、米中貿易戦争による世界経済の下振れリスクなどから今以上に下落する可能性が十分にある状態で先行きが見通せない状況です。

したがって24%の金利があると言ってもそれを打ち消す下落になる可能性が十分にある、タイムセールで安くなっていたと思っていたお肉が実は腐敗肉だった。という可能性がある以上、安易に新興国通貨に手を出すわけにはいかないのです。

 

まとめ

”おいしい話には裏がある”なんていいますがおいしい話に限らず物事には裏と表があるものです。「金利が高く、持っているだけでスワップがついてお得」ということを表とするならば「金利を上げてスワップをつけないと誰も買ってくれない」という裏があるわけです。

2005年頃の円相場はアメリカの好景気に引っ張られる形で断続的な円安傾向が続いていたため金利目当てに外国通貨を持つキャリアトレードで利益を上げている投資家が沢山いました。特別な知識も必要とせず持っているだけでお金が増えるのですから2005年頃から日本では空前のFXブームとなりました。

しかし2008年9月15日、アメリカで起きたその出来事は3年間の金利分の利益をすべて吹き飛ばすどころか元本までも吹き飛ばし、当時のスワップ派を根絶やしにしました。

FXをやられる方はレバレッジが効いていることを忘れてはいけません。外貨預金ならまだしも実際の証拠金の25倍の金額を動かしているということを肝に銘じてください。FXは決して放置していい投資法ではないのです。

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