経済・お金のあれこれ

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子ども・子育て支援法は保育現場に混乱をもたらす

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5月10日、幼児教育と保育を無償化するための改正法、子ども・子育て支援法は参議院本会議で賛成多数によって可決されました。

 

賛成に回った日本維新の会

無償化は、教育費の負担軽減が子供を持つ動機付けになるという証拠に基づくものだ。社会全体で子育て世帯を支援していくことこそが豊かな未来につながる。

と述べました。

 

しかしこれはSNSで言われている通り的外れと言わざるを得ないでしょう。

 

なぜなら今の日本ではそもそもに子供を保育施設に預けられないからです。

 

2018年10月のデータでは全国の待機児童の数は5万人弱

 

今回の法案成立により、今まで金銭的な理由で保育施設の利用を見送っていた保護者も利用を検討することからますます待機児童問題は深刻化することになります。

 

なんとも本末転倒な話です。

 

まずは希望者全員を入園させられるようにすること。それが出来るようになって初めて処遇改善となるのであって、施設利用料が安かろうが高かろうがそもそもに利用できないのであれば何の意味もありません。

保育施設と保育士の確保が最重要

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なぜ、待機児童がこれだけ存在するのか。その理由は実に単純です。保育施設と保育士の数が足りないからです。

 

これは保育現場に限ったことではありませんが人員不足というのは最悪の悪循環を生み出します。

 

保育士が不足しているということは一人当たりの保育士の負担が大きくなるということです。つまりは職場は劣悪な環境になりやすく、過労働になります。

 

するとそんな環境に耐えられず、辞めていく人が増え、さらに人手不足になり職場環境はさらに劣悪なものとなり、ますます過労働になっていくのです。

 

実際に、東京都世田谷区の民間が経営する保育所2か所で保育士の一斉退職が起き、閉園を余儀なくされました。

 

独立行政法人福祉医療機構の調べでも29.4%の保育所が人手不足で、うち8.5%の保育所が児童の受け入れを制限せざるを得ない状況だということです。

 

子ども・子育て支援法がとどめとなる可能性も

このような環境整備がまるで出来ていない状況の中、保育無償化を行えばどうなるでしょうか。

 

入園希望者はさらに増えることになり、保育現場はますます過酷な環境となります。そして過酷な職場環境と過労に耐えられず退職者がさらに増えるという悪循環が進み、日本の保育にこの法律がとどめを刺すという事態にもなりかねないのです。

順番は大事

  • 利用料が高すぎて保育施設を利用できない。
  • 施設や保育士の数が足りなくて保育施設を利用できない。

 

どちらも解決しなければならない重要な問題ですが解決の順序を誤ると逆に事態を悪化させたり、混乱を招いたりする場合があります。

 

政府には保育施設と保育士の確保を急いでもらいたいです。

 


保育園問題 - 待機児童、保育士不足、建設反対運動 (中公新書 2429)

 

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