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外国人就労の拡大、日本の労働環境はどう変化するか

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安倍首相は6月5日の経済財政諮問会議外国人労働者の受け入れの拡大を表明しました。

 

今まで日本は高度な技術を用いる専門職を除き、特別な知識が必要ないいわゆる「単純労働」を行う外国人の受け入れには消極的でした。

 

しかしながら介護、農業といった分野での深刻な人手不足を受けて労働力の確保に外国人の手を借りざるを得ない状況となったということでしょう。

 

この政府の「外国人の就労拡大」によってどうなっていくのかを考えました。

 

問題は一時的には解決する

国が何とかしたい大きな問題が人手不足です。実際には日本人がやりたがらないだけで実際には余ってる手はたくさんあったりするんですがまぁやる人がいない以上、人手不足ですね。

つまり人がほしいんだけど人がいない。そんなところに外国人を入れて補おうということです。

 

人手が不足している多くの職は特別な技術や知識を必要としない単純労働ですから外国人を入れれば問題は解決すると思います。

 

しかし真の問題はその先、10、20年後にあります。

 

必要な人員というのはどの分野であってもその都度その都度変動します。例えば介護現場で言えば介護を必要としている人が圧倒的に多いにも関わらず介護する人が少ないので介護現場は「人手不足」となるわけです。

しかしながら残酷な話ではありますが高齢者は永遠に生き続けるわけではないのでどこかでピークを迎え、介護が必要な高齢者は減少していくことになります。

そうすると今度は介護が必要な人が少ないのに介護をする人が多い。つまり「人員過剰」になってしまうわけです。

 

外国人と仕事の取り合いになる可能性

例に介護現場を出したので介護職で話を進めますが基本、どの分野でも同じことが言えます。(農業従事者が少ないので増やしたが機械化が進んだことにより人手がいらなくなり人員過剰になったというように)

 

介護をするために働きに来た外国人。仕事がなくなったので国へ帰ろう、となれば丸く収まるかもしれませんが日本で生活しているうちに結婚し、子供が出来、日本に根を下ろす人も少なくないでしょう。

そうなった場合、介護の職を失った彼らは他の仕事を探さなければなりません。

 

これによって起こっている問題のいい例がアメリカの移民問題です。

好景気で労働力が必要だった時代は移民の力は大きな経済効果を生みました。しかし、サブプライムローンリーマンショックなど金融危機を受け、アメリカの景気がしぼみ出すと当然仕事も減ります。

仕事は減りますが人口は減りません。それどころかアメリカンドリームを掴むため人口は増え続ける。

 

これによって安い労働力に負け、移民にアメリカ人が職を奪われるという解釈が生まれ問題となったわけです。

 

日本にこの問題を受け止める器量があるか

アメリカは移民国家です。移民によって作られ移民によって成り立っていると言っても過言ではありません。そのため、他国と比べて移民に対して寛大です。グリーンカードなどがそのいい例でしょう。

そんな移民に寛大なアメリカでもあれだけの大きな問題になりました。

 

日本は島国というこもあり、外国人に慣れていません。英語もろくに話せない人も多いですし、世界で見ると日本ほどグローバル化が進んでいない先進国はほかにないと思います。

 

慣れていない、知らないとなるとどうなるでしょうか。よしじゃあ外国人について勉強しよう!と考えるのはほんのわずかな一握りの人達です。ほとんどの人はどうするかというと自分の持つ知識から想像を膨らませるのです。

 

その結果どうなるか、偏見と差別が生まれるのです。

 

そんな国が外国人に仕事を奪われた、外国人のせいで困窮しているなんてことになったらどうなるでしょうか。

 

きっと世界がドン引きするようなヘイトスピーチが行われるような気がしてならないのです。

 

仕組み作りより意識改革

外国人労働者の受け入れ拡大に向けて政府は仕組み作りに動いています。それはどういう基準で外国人を受け入れるのか、待遇はどうするのか、などです。

確かにそれも大事なことなのですが日本のこの閉鎖的な考え方を変えないと大きな問題になると思います。


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