経済・お金のあれこれ

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雇用とは何なのか~~雇用主から見た雇用制度は労働力を買うというより社会奉仕に近い

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従来、定年退職と言えば60歳でした。しかし現代では健康寿命の延びや慢性的な人手不足、年金受給開始年齢の引き上げなどの理由で60歳を過ぎても働き続ける人が増えています。

また政府も高年齢者雇用安定法で65歳まではすべての希望者を雇用し続けなければならないと企業に義務付けました。

この「雇用を義務付ける」という文言に私は違和感を覚えてならないのです。雇用って本来これだけのお金を払うので働いてくれませんか?ってものだと思うんです。

でもこれだと「この会社で働くから金をよこせ」って話に聞こえるんですよね。

時代とともに雇用の在り方が変わっていくことは普通のことだとは思うのですがすごくむずむずするので今回は雇用・労働について考えていきたいと思います。

雇用とは

当事者の一方 (労務者) が相手方に対して労務に服することを約し,相手方 (使用者) がこれに報酬を与えることを約することによって成立する典型契約 (民法623) 。

辞書にはこのように記されています。

つまり雇い主が仕事をお願いし仕事をしてくれればそれに対する対価、報酬を支払うというものです。

しかし今の雇用制度は完全に立場が逆です。労働者が賃金を求めたならば雇用主は労働を提供しなければならないといった感じです。

だから何なんだと思われるかもしれませんがこれって非常に不平等な契約です。

あなたが雇用主であるとして考えてみてください。

外回りの営業のため人を一人雇ったとします。人を雇えば雇った人にお金を払わなければなりませんがそのお金はどこから出るかというと雇った人が稼ぎ出すお金から支払われることになります。

したがってその人を月20万円の給与で雇ったならばその人に月20万円以上の働きをしてもらわないと雇った意味がありません。それどころか月10万円程度仕事しかしてくれなければその人を雇っていることが月10万円の負担になってしまいます。

あなたが雇い主ならこの人をどうしますか?当然解雇すると思います。相手がすんなりとそれを受け入れてくれれば問題ないのですがやめたくないと言われればかなりの確率で解雇できません。

もちろん法律上はその人を解雇するにふさわしい客観的合理性、つまりは誰が見てもそれは解雇されて当然だよねという理由があれば解雇できるとしていますがこのハードルを越えるのが非常に厳しいのです。

どれくらい難しいのかというと過去に「高知放送事件」というものがありました。

これは高知放送の宿直のアナウンサーが2週間のうちに2度寝坊をしてしまい、2日間放送できなかったというものです。これを理由に高知放送はこのアナウンサーに解雇することを言い渡しましたがこれを不服としたアナウンサーが裁判を起こしました。その結果はこの解雇は客観的合理性を欠いた不当解雇であるとされ高知放送の主張は棄却されました。

つまり1週間に1回のペースで仕事を破断にするような輩であっても雇用者は解雇できないのです。

雇用とは社会奉仕

このことからもはや雇用とは会社が利益のために労働力を買うという概念は崩れていると言えます。どちらかと言えば失業者が増えると国が困るので国の税収安定のための社会奉仕に近いです。

もちろん労働者が会社にいいように使われ用済みになったらポイされるといったようなことはあってはなりません。

大事なのは労働に対し、正当な報酬を会社が支払うことです。

10万円の仕事しかしない、あるいは会社に10万円の損失を生み出す人材に月30万円の報酬を支払うことが正当な報酬と言えるでしょうか。

そしてこれは雇用機会にも言えることです。

男性女性を差別してはならないということで国は男性と女性を均等に雇用することを求めていますが実際問題として男性は妻が妊娠しても産休は取りませんし結婚を機に会社を辞めるのは女性が圧倒的に多いです。

それを考えれば利益追求を目的とした組織が休みにくい男性を雇用し女性を避けるのは当たり前で男女差別とは根本的に話が違います。

利益を追求するには男性を雇用したいけどそれをすると社会批判が強まって結果として利益を損ねるのでしかたなく女性を雇用するという歪んだ現状が生まれています。

どちらもキーになるのは正当性です。

労働者は正当な報酬を受け取るべきです。

女性は差別されることなく正当な扱いを受けるべきです。

国は表面上の法律を作り、これらの問題の根本は社会に丸投げしているように思えるのです。


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