四季報から読み解く今買うべき銘柄8選【2019年3集Ver】
イギリスのEU離脱、米中貿易戦争、イランとアメリカの関係悪化と世界では話題の欠かさない昨今ですが、NYダウは一時最高値更新に迫る上昇を見せ、とても世界の緊張が高まっているとは思えない好調さを見せています。
一方の日本株はと言うと力強い米国株の動きとは対照的にもみ合いを続けながら緩やかな下落が続いています。
世界には好感されるようなニュースは見当たらず、海外投資家も円買いに張りりやすい状況、国内でも今年10月の消費増税が確実視されている状況を考えると日本株にはまだまだ厳しい風が吹き続けそうです。
しかし長期投資家にとっては市場全体で株価が下がる時は優良銘柄を割安で買う絶好のチャンスです。
息苦しい閉塞感が充満する今の日本の株式市場では、好決算・高成長の優良銘柄がかなり割安で放置されています。
したがって今回も先日発売された会社四季報 2019年3集夏号を使って今買うべき優良銘柄8社、紹介したいと思います。
ポイントは今後成長が見込めて高ROEかつ高配当な長期投資向きな銘柄。
そして今すぐ買える割安銘柄であることです。
- 1893 五洋建設★★★★☆
- 2362 夢真ホールディングス★★★☆☆
- 3003 ヒューリック★★★☆☆
- 3244 サムティ★★★★☆
- 5929 三和ホールディングス★★★☆☆
- 8053 住友商事★★★★☆
- 8591 オリックス★★★★★
- 8925 トーセイ★★★☆☆
- 今回の選定まとめ
1893 五洋建設★★★★☆
総合建設大手。国内建設に力を入れてきた会社ですが最近は海外の大型案件獲得に注力。
海上土木に強みを持つ会社です。
2017年3月に純利益が倍増。今年3月も連続最高益を更新し、来年も最高益の更新が予想されています。
配当利回りも4.12%と申し分なし。
日足チャートで見てもかなりの安値圏にいることが分かると思います。
下降パーティションに乗って下落を続けてきましたが2月8日の投げ売りから5月10日の最安値で底を打った感じがあります。
これから上昇に転じるためには直近で頭を押さえられている価格帯別売買高の水平線と下降パーティションの上抜けと二つのブレイクが必要になりますがすでに歴史的安値圏にあること、最高益を更新し続けているファンダメンタル要因を合わせて考えるとそろそろトレンド転換してもよさそうな時期です。
いずれにせよファンダメンタル、テクニカル両方の観点から割安であるのに加え、配当利回りもいいので塩漬けにも最適な銘柄です。今すぐ買っても大きな損失には繋がりにくいでしょう。
2362 夢真ホールディングス★★★☆☆
前回の2集Verに続き、2連続の選出です。
施工図の作図で祖業ですが、現在は建設現場への技術者派遣が主力です。
2017年までは純利益が毎年の減益でしたが去年からV字回復。売上高は毎年順調に伸び、利益がついてきた感じです。
この会社はどれだけ効率よくお金を稼げているかを示す指標、ROEが29.3%(平均は9.8%)と高く、キャッシュフローも39億と潤沢です。
手元に資金が沢山あるということは設備投資や増配、自社株買いなど企業価値を高める選択肢が豊富にあるということを意味します。
ひとつ気になるのは投資キャッシュフローがプラスになっていることです。通常、成長著しい会社は積極的な設備投資を行うので投資キャッシュフローはマイナスになるのが普通です。
逆に、資金繰りに困る会社は資産を売却したりしてお金を作るので苦しい会社ほど投資キャッシュフローはマイナスになりがちです。
不透明な要素が少しあるのでちょっとだけ評価を低めにしています。
こちらも五洋建設と同じく、歴史的安値圏で推移していますがこちらの場合は一番上値を抑えられる価格帯別売買高から頭を出しました。
テクニカルで見るとこの価格帯別売買高意外に目ぼしい抵抗は見当たらず、ここをすんなり抜けるようだと1100円近辺まで一本調子で上がってくれるかもしれません。
短期トレードでも少しお勧めな銘柄です。
ちなみに短期でトレードする場合は直近安値と心理的抵抗になりやすい650円割れあたりにロスカットを入れるのが目安です。
3003 ヒューリック★★★☆☆
最近私も買いました。不動産管理のヒューリックです。
主に都区内に好物件を多数所有しています。
こちらも過去の業績を見ると純利益は4年連続の増益、予想で5年連続の増益になる見通しです。
ただ他の銘柄と比べると配当利回りが3.27%と若干物足りないのと売上高が頭打ちに見える点が気になります。
今後も成長を続けていくためには新たな収入源を増やすか、利益率の増加が必要になるでしょう。
3244 サムティ★★★★☆
3連続の登場となりました。投資家向けにマンション販売を手掛けるサムティ。
不動産投資のREITが好調のためか、サムティに限らず不動産販売関連の銘柄は調子が良いものが多いです。
その中でもこのサムティは成長率、利回り、割安性において優秀ですので、毎回代表として紹介しています。
売上高・経常利益・当期利益とそれぞれ奇麗な右肩上がりです。
配当利回りも5.38%と高配当銘柄と言われる部類の中でも上位の利回りを誇ります。
PBRも0.89と割安を示しており、ファンダメンタルではほぼ文句のつけようがない状態です。
唯一の懸念と言えば他の紹介銘柄と比べると割高である点です。最安値は200円台とあまり当てに出来ない値なので大底がどの価格帯なのかということを予想するのが難しく、チャート的には宙ぶらりんなところで株価が推移しているように見えます。
他の銘柄と比べるとこれ以上、下がることはないだろう!という安心感がないチャートになっているので少し買いを入れずらいかもしれません。
5929 三和ホールディングス★★★☆☆
https://www.sanwa-hldgs.co.jp/
重量・軽量シャッターともに国内首位。M&Aを活用して海外でも事業拡大中。
総資産3384億円という大企業ながら5年連続の純利益増益と10%を超えるROEで堅調な成長を続ける優良企業です。
売上と営業利益が頭打ちの感がありますが当期利益の伸びは流石です。現状に満足することなく海外に事業を拡大する姿勢も好感が持てます。
長期投資で見ればすぐに買っていって問題のない安値水準ですが短期で売買するには少し注意する必要がある形です。
1回目の上昇としては十分な値上がりであることと、過去数度にわたって意識されている水平線にタッチしたので一旦利益確定が出そうな形です。
慎重にエントリーしたい人は一旦下落するのを待って、6月3日の安値を割らないことを確認してからエントリーすると確実性が増すでしょう。
8053 住友商事★★★★☆
言わずと知れた住友系の総合商社。
住友に限らず総合商社はだいたい好調です。
どの商社も海外での開発に積極的です。
この総合商社と言う業種は手広過ぎていまいち私には何をやっている会社かつかめないところがあります。
2015年に大赤字を付けていますが翌年の2016年には業績を立て直しています。その翌年には純利益倍増。18,19年も好決算を記録しました。
配当利回りも5.69%とトップクラスの水準です。
上述したように、総合商社は軒並み好調ですが、この住友商事はかなりの割安圏にいます。
去年のクリスマスにつけた安値を底値として、安値の切り上げが始まっているのでテクニカルで見れば”そろそろ上昇トレンドが出るころかな”という予測が出来ます。
直近の高値を抜けてくれば1800円くらいまではするすると登っていきそうな形で、短期トレードにもお勧めです。
8591 オリックス★★★★★
リースや生保、不動産などあらゆるサービスを提供するオリックスですが業種としては金融サービスになるようです。
前回に引き続き2連続での紹介です。
派手さはありませんが安定した成長を続ける大企業。
上場間もない企業と違い、この規模の会社になると好調の年、不調の年がはっきり出るものですが大したものです。
株主還元にも積極的で増配も期待されています。
株主還元に積極的で安定的な成長を続ける誰もが知っている有名企業を割安で購入するというバフェット投資にも合致します。
これぞ長期投資向け!と言えるような銘柄です。
1年半にわたって続いた下落のトレンドラインからようやく頭を出してきました。
かなり意識している人が多いであろうトレンドラインのブレイクと安値の切り上げが確認できることからトレンド転換の可能性が高いです。
今後は上値抵抗として働いていたトレンドラインが下値の支えに役割を転換し、株価を下支えします。
長期で見れば今買っても問題ありません。短期で見る場合はトレンドラインの役割が下値の支えに変わったことを確認し、押し目買いを入れるのがお勧めです。
8925 トーセイ★★★☆☆
マンション開発から出発した会社ですが今の主力は不動産流動化事業。
その他にも不動産ファンドや管理も手掛けています。
会社の規模は小さいですが堅実で着実に利益を伸ばしている会社です。
ハイテク株のように爆発的な利益を生み出すことはありませんがこのような一歩一歩着実に前進していくような企業をポートフォリオに入れておくと成績が安定します。
こちらもオリックス同様、長らく意識されていたトレンドラインを力強くブレイクしました。オリックスよりも下値の支えがしっかりしていて安値の切り上げが分かりやすいのですでにトレンド転換したと判断してもいいかもしれません。
しかしこのように力強く飛び出されると高値掴みしている感じがして手が出しにくいと感じる人もいるかもしれません。
上昇の1回目なのでここで大爆発を起こす可能性は低いので落ち着いて押し目を狙うのがいいかと思います。
今回の選定まとめ
世界情勢が混迷を極めていることが影響しているせいか業績の下方修正や決算結果が芳しくない企業が多く、前回の選定とはかなり顔ぶれが変わりました。
また、厳選したというのもあるのですがウォッチリスト80銘柄くらいあったものを今回は30銘柄程度に絞っています。
今回紹介した8銘柄はその中でもより安定感があり、より割安で今すぐ買える銘柄をテーマに選定しています。
もっと成長率の良い会社や値上がり期待が持てる銘柄はたくさんありますが長期でじっくり持ちたいという方は是非参考にしてみてください。